焦っちゃダメ。

2022-07-11

今年はカラ梅雨って事になるのでしょうか?
6月、暑かったですね~。

 


舞台「千と千尋の神隠し」全国ツアー大千秋楽

3月の帝国劇場から7/4御園座の大千秋楽まで、ツアー大道具を担当させていただきました。
皆様も報道でご存じだとは思いますが、ラスト1公演を開催するまでに様々なドラマがあったようです。
担当チーフからの毎日の報告は本当に厳しい状況を示し、それでもカンパニー全員が何とか最後だけでも開催したいという希望を捨てず
調整に調整を重ねて実現された大千秋楽。
ギリギリの判断を続けた東宝さん、制作チームに心から敬意を表します。
関係者の皆様、本当にお疲れ様でした!

 


【某学校さま 平台ほか舞台備品一式納入】

製作納品のご相談をいただいて予算内のお見積もりを提出したのは昨年9月。そこから世界情勢は大きく変わり、かの悪名高い「ウッドショック」がやってきました。
材木の値段は急激に高騰、更に入手自体も怪しくなり……これはマズいぞと作戦会議を繰り返す最中に正式なご発注の連絡が。
期限切れの見積もり通りで行けるのか、行けないのか。そもそも材料は手に入るのか、、?と検証している間にも値上げは続きまして。
学校さまは一度決めた予算は動かせない、との事で。値上げがダメならどうしたら・・・

と、幸いご発注の仕様にサイズ以外のご指定が無かったので、ならばコスト重視の仕様に変更して何とか、と工場に提案したんですが、
「将来その学校の生徒さんが舞台関連に就職したとして、学校で触り慣れた物だったら安心するよね?」
という工場長の心意気で本気仕様(某大ホールと全く同じ材質、仕様)に。むしろアップグレード。
予算とコスト、非常に葛藤しましたが……確かに仰る通り。コストしか考えないなら他所でもできるもんな。

完成した商品はまさに僕たちプロが触り慣れた物。
おかげで堂々と胸張って納品させていただきました。

 

さぁ、今年も残すところ半年。
あっという間に半分が終わってしまいました。
ふと気づいたら世の中は加速してる。びっくりするくらいのスピードで進み出してる。

正直焦ってます。いやホント。

今回の納品もそう。ウッドショックやコストの事ばっか気にして、僕たちの一番のポリシーである「お客さんが喜ぶ」事を優先できてなかった。
これは本当に反省すべき点だなぁ、と思う反面・・・結果として順当な利益を確保できなかった事を、実はいつまでも考えてしまう。
「年に一件のお客さんを365人集める」事が僕たちの創業からの理念だったはずが、ちょっとした値打ちを分かってくれない事に不満を抱いてしまう。

 

焦り以外の何物でもないですよね。今回改めて思い知りました。
こんなの「弱者の戦い方」だ。なんで俺は下から見上げてんだ。と。

そうゆう意味では今回の工場長とのやりとりは僕にとって実に気づきのある、
ハッと目を覚ましてくれる物だったと思います。

エンタメは常に誰かを救う。僕たちもその業界の人だ。
忘れちゃいかんよな。

 

・・・と、妙に反省した1カ月でございました。