先日、こんなお仕事をしてきました。

某関西の歌劇団に感銘を受け、一人で私的歌劇団を立ち上げた主催の10周年記念公演。
10年後にこの某劇場で公演するのを夢見て、10年間必死で貯金してきました、と。
夢が叶う今回の記念公演は「もしお客様が入らなくても、何かトラブルがあって追加料金が出ても問題なくお支払いできます」との事。

弊社は舞台監督と設営、大道具の本番対応だけでしたが、エピソードを聞いた瞬間シビれすぎて言葉を無くしました。

よっしゃ任せろ本気見したる。完璧な本番にしたるわい、と。
本公演(弊社は某歌劇団経験者多数)と同じモードで公演に臨みました。

もちろんどの公演も予算があって、思った事の全部が出来る訳ではありません。
そういう意味では他の公演と同じ、どの団体も苦労して本番に辿り着くのは変わりありません。
が、一番大切な条件である「予算」をクリアしている時点で、この歌劇団はどの大劇場にも負けない資格とスタッフの心意気を手にしている訳です。
ただの金額のお話ではなく、ね。

理想と予算。難しい問題ですよね。
以前からこのブログでもちょこちょこ切り取ってきたテーマではありますが、予算には大概限りがあるのはもちろん理解しています。
その上で、やりたい事と出来る事の判別をしていかなくてはいけない。
例えばこれがやりたい、と思ったとして、それを実現するにはこれだけの金額がかかります、と私共が答えたとします。
そんなお金ないよ。どうしよう。高いよね。
ここで値切るのか、やりたい事を整理するのか。

この時点でスタッフと相談して、着地地点を決めるのがよくある公演のスタイル。
ここからがプロとお客さんとの「情」によって左右される一番大切な分かれ道と言っていいと思います。

例えば最初に予算がある、そしてやりたい事も決まっている、のであれば、それにハマってくれるスタッフを探せばいい。
でもね、そうやって探し出したスタッフには、もしかしたらその時点では「情」は無いのかもしれませんよね。
やりたい事よりも金額に拘る、やりたい事もまだ正式に決まっていないのに見積もりを出して、とか、前任の業者はこれでやってくれたから、とか、
この辺の言葉が出てきた時点でコミュニケーションは出来ませんし、大体の場合金額は恐ろしく低い。そして前任の努力の結晶のような数字を基準に考える時点で、そこに「情」は生まれません。
まずもって前任から他に移る理由を詳しくお聞きしますし、何なら前任に状況確認も必ずします。名古屋せまいからね。
プロのスタッフがその公演に「情」が入る瞬間…予算が正当にあってもなくても、やはりちゃんと話せる事。そして信じてくれる事。
お金払ってるんだから、とか、こんな事もしてくれない、とか、物を売り買いしている感覚で値切ったりとか、
そういう話になってくると逆にその公演だけ予算度返しでパーフェクトを目指して、次回のお話になった時点で「二度と次回はありません。笑ってさよならしましょ?」という事になりますね。残念ですが。
まあ色々工夫して、がんばって調整して、それでも最終的にも高い、とお思いなら、私達が想定していないお客様という事になるのかな。
お客様は神様ではなく、パートナーだと思っています。

人間同士の付き合いと同じ。主催もスタッフも、同じ公演で成長していくんです。
長年の付き合いの主催や、お金で払えないものには「感謝」で払ってくれる主催の公演には、必ずと言っていいほどスタッフに「熱」があって、
少しでもカッコよく、少しでも気持ちよく、先生の為に、公演の為に、ってクオリティが異常に高かったりします。まあプロじゃないと気づかない物だったりしますが笑

やりたい事と出来る事、その差を埋めるのが「スタッフの心意気」なんだろうな。
お金とサービスは等価交換。こんな当たり前の事実を理解して、10年間コツコツと貯めた予算で心意気を買ってくれた主催の公演は、
プライドや遊び心が散りばめられた最高にカッコいい物に仕上がっておりました。

次回もまた関われたら最高ですね。