舞台大道具=サービス業という考え方

皆さんこんにちは。

9月に入っていきなり朝晩の気温が下がりましたね。
毎年こんなだっけ?9月も残暑が厳しいイメージでしたが…

毎月「ここんとこのお仕事」を紹介してきましたが、今回は少し趣を変えて
弊社の環境や考え方なんかをアバウトに書いてみようと思います。

私達リアルステージ株式会社は、種別で言うとサービス業に当たるのかな、と思っています。
厳密には「特殊派遣業」?や専門職になるのかもしれませんが、一般のお客さんから発注がある事はほぼありません。完全に「プロ向け」です。
つまり舞台を熟知した製作サイドや舞台監督、同業者からの発注で成り立っている企業です。(いや一般のお客様も大歓迎なんですけどね)
先月も書きましたが、近年一つの企画や舞台を成立させるにはまず「予算」で、同列に「安全」そしてその下に「質=顧客満足」となるんでしょうか。
予算を掛ければ安全度は増すでしょうし、質も付いてくる。でもその予算が…
しかし安全には換えられない。じゃがんばって予算付けて、質を上げて…
この「予算=質=顧客満足」ではない所が、このお話のミソになってきます。

発注者は何を基準に業者を選別しているのか。
経験?知識?まあそれすら必要なくただ舞台という特殊空間を知ってれば成り立つ物件も正直あります。
ただ並べるだけ、置くだけ。引っ張るだけ。ならアルバイトや単価の安い経験者でいいやん。って。
反対に複雑な出し物や芸能人相手のタイトな物。専門知識が必要な厄介な物には単価の高いプロを、って考え方…いや、その考え方、それで合ってます。笑
合ってるんです。予算が合って収益が出て、来年の催しに繋がるならケースバイケースで使い分けるのは当たり前ですよね。

じゃさっきの「予算=質=顧客満足じゃない」ってどういう事よ?

質が良い大道具…経験豊富で作業も早く、1個言うと10個理解してくれるプロ中のプロ、なんですが、実はそれってプロなら当たり前で、私共の目指すのはソコじゃなく、
発注者が本当に欲しいのは、何かあったときに「一緒に」「寄り添って乗り越えてくれる」大道具さん。
例えば段取りに不備があったり、予期せぬトラブルに見舞われた時、段取りに迷った時、同じ目線で相談に乗ってくれる…いわばパートナーが欲しいんだと思います。特に大道具ってポジションは。
何かと上から目線で過去の大きな興行と比べたり、何かとケチつけたり、事情通を気取って雰囲気を悪くする大道具では、安全とタイムテーブルしか守れない。
2度手間でもいいじゃない。検証してみましょうよ。結果はわかってるけど、お客さんの間違ったリクエストに「違う」と言うのは簡単だけど…
実際見てみて「ああ、なるほど」と思ってもらえれば時間を掛けた価値はある。
大事なのは今日その場だけ、自分だけハッピーになる事じゃない。
限られた少ない時間の中で、その舞台に関わった人全員が、なるべくハッピーに演目を終える事。
新人もベテランも、照明や音響も、製作、キャスト、全ての関係者がハッピーになれて初めて興行に「意味」を感じる事ができるんじゃないか。
ね?サービス業でしょ?

文化なんて本当に脆くて、人の生活に直接必要ではない物。
豊かな生活の上にしか成立しない贅沢。感動や満足という贅沢な記憶。
決して豊かとは言い切れない現代の、しかも何でもネットで見れちゃう超現実主義の時代に残るには…
スタッフが職人気質しかなければ、誰もチャレンジなんかしないでしょ。
一緒に乗り越えてあげるから、思ったことやってみなよ。何とか実現できたら最高じゃない?
そうやって繰り返す演目が文化になって、古典になって、そうやって成立してきた物を芸術って呼んでるんだよね?

あれ?上から目線だ。笑